福岡東部子ども劇場

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学校が塾のようになっていいの?~教育の自由化とは~

子ども劇場福岡県センター 高学年部組織づくり学習交流会
2014年2月2日(日)10:30~16:00
講師:勝山吉章(福岡大学教授 人文学部・臨床心理学科)

◇問題は、学力の「二極化」
学力の低下や規範意識(モラル)の低下はよく語られていますが、むしろ注目すべきは学力の二極化です。子どもの成績と保護者の経済力関連が2009年の調査で確認され、格差社会と学力格差は同じであることが裏付けされました。 学力を平均化したいなら経済格差をなくせばいいのだけど、現状では日本のGDPは増えているのに貧困率(年収200万円以下)もさらに増えている。新自由主義的構造改革の考えに伴う教育改革を推し進めているからです。子どもを競争に駆り立てる日本の教育改革。本来、教育とは、競争ではなく共同の原理で学力を向上させ、自己肯定感を育んでいく学びの場なんですけどね。子どもが持つ無限の発達の可能性を保障する場をつくるのが社会の役割です。

◇新自由主義的競争原理によって教育も「消費者意識」に
 自由競争を良しとする原理で、本来公的に保障する分野(福祉、教育、保育等)も全てをマーケット化すると、学校・病院・役所など利用者は「お客様」となり、生産者(提供者)は消費者によって選ばれることを目指して競争に走る。そうなると消費者意識からクレーマーやモンスターは増加するだろうし、生産者側は過酷な労働条件によって身体的・精神的欠陥の増加につながるのは当然でしょう。また、一方で、競争から脱落した者たちの反乱を抑えるために道徳教育を強化する。このような教育改革が進むと、一体どうなるのでしょうか?

◇本来の教育 ― 学びの共同体
 競争による能力別のスタイルでは、成長の可能性は非常に厳しいことが実証されています。そうしたスタイルの地方有名高校出身が東大入学後の留年率が高いのも、統計として出ています。真に成長を促すのは、グループ(集団)による学び合い(教え合うのではない)。他者の「わからない」から自分の「わからない」に気づき、それが学びのとっかかり・宝物になる。自主的な活動、考える活動が真の成長につながる。これが結局、落ちこぼしをなくしどの子もひとりひとりが主人公となりうるのです。

◇地域の教育力、自治の力を育てる
 子どもの成長にとってものすごく影響力があるのは“少し上のお兄さんお姉さん”の存在。幼いころから“大きい人”を見て「自分もやりたい」と思い、やってみて「できるんだ」の経験をする、「何かをやればできるんだ」という確信が自己肯定感につながります。昔は村まつりのようなものが残っていてそういう地域の教育力につながりましたが、今でいえばこの子ども劇場がそうですよね。自分たちで何かをつくっていく、自分たちの力でやれたという達成感を持つ体験が自治の力を育む。子ども劇場の活動もそういう意識で誇りと自信と責任をもって続けてほしいと思います。
 ちなみに、私が大学で学生たちと出会って感じていること。大学は「原っぱ」だ!「レジャーランド」じゃない!幼いころから与えられたもので楽しんでる(何かをやっている)人は、大学では何をやっていいのか困ってしまっている・・・。いるだけでは楽しめない、でも何かをやりたいと思えばできるんだ、それが「原っぱ」です。

ステージにゅ~す 2014年4月号より
at 2015/02/28 17:06:30