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~子どもは本によってどんな風に育っていくか…
誕生前から就学前まで~
子どもが接する読み物の中に良い象徴や見本があれば、生きていく希望を持つことができ、現実に向かっていく力を蓄えていくことができる。実際の子どもをイメージしながら、成長にそって考えてみたい。
《生まれる前》
ある専門書には「読む」という行為が始まるのは生まれた瞬間からとあるが、 自分には納得できない部分もある。ハンガリーの教育者で音楽家のコダーイは、生まれる9ヶ月前からと言っている。それは、本を読むための環境を確保するという意味においてでである。
《新生児》
生まれて間もない赤ちゃんがお母さんに世話をされながら聞く、お母さんの口から出てくるとなえやわらべうたが、その子が最初に接する文学作品。初めて母語に接する機会なので、習得するというだけではなく、美しいものや良い題材の詩やうたであることが必要である。
《首がすわる頃から》
膝にのせたりして、一緒に絵本を開けることが少しずつできるようになる。絵本の中のいろいろなものを指し示して言葉を説明してもらうことで、現実の世界のものをひとつずつ学んでいく。
子どもが最初の段階で出会う良い本とは、質の高い絵や写真を使ってあることと、さらに“文字がない”ことで、文が一行でもあるならば美しいとなえや語呂のいい言葉や詩が書いてあること。
大人に読んで貰って耳から聞き、後で子どもが一人で絵本を開いて自分で思い出す事が必要である。逆に、電子音が出たり、カラフルすぎる本、流行りの絵や子どもに媚びる絵を使っている本は選ばない方がいい。
小さい子どもは、絵本を読んでもらう他にお話を聞くことも楽しみにしている。何回もお話を聞いた後に、自分で物語を話し出す事があるが、大人はその話を一生懸命聞く事が大切。一つの単語を四十~五十回聞くことで、その意味を理解し、使いこなせるようになる、という研究統計がある。日頃から身近に絵本があり、話を聞かせてもらった子どもは、そのような環境にない子どもと比べて、小学校に入る頃には話す力に百倍くらいの差ができる。
次号に続く…